Vol.03
パリの街はお店や学校が制限付きではありますが再開し始め、飲食店も営業ができるようになりました。みんなが少しずつ新しいルールでの日常を取り戻していこうとしています。今年はちょっと特別な春でしたが例年ならば6月は子どもたち、そして親たちにとって1年で一番忙しい時期です。学年末のお稽古の発表会、kermesse(ケルメス)やfête de l’école(フェット ドゥ レコール)と呼ばれる学校のお祭りやバザーで埋まっていく週末。7月、8月は色々な機能が止まってしまうフランスなので、来年度の申し込みやサイン、小切手の支払いなどの各種手続きも6月に済ませるのが普通です。お天気がよく、爽やかで気持ちの良いこの時期にはピクニックや田舎に出かけるお誘いも多く、さらにソルド(セール)も始まる!ママたちは目の回る忙しさの中Vacances d’été(夏休み)を楽しみに駆け抜けます。
フランスの学校には年に5回のヴァカンスがあります。10月の諸聖人の休日にVacances de la Toussaint(トゥサン)、クリスマスから新年にかけてのVacances de Noel(ノエル)、2月にVacances d’hiver(冬休み)、4月頃復活祭の時期にVacances de printemps(春休み)、そしてVacances d’été(夏休み)。つまり夏休みを除いて、2カ月毎に2週間のお休みがあるのです。子どものいる家庭にとってヴァカンスの日程は、年間スケジュールにおいての重要事項。宗教的な行事の時期でもあるので遠くに住む家族に会いに行く子どもたちも多くいます。パリジャンの中にはノルマンディなどのセカンドハウスで過ごす人たちも。もちろん5回すべてのヴァカンスに大人たちの仕事が休みになるはずはなく、学童やStage(スタージュ)と呼ばれるアクティビティスクールも充実しています。音楽、スポーツ、アート、乗馬、サーカスなども人気。バカンス中は基本的に宿題はなく、習い事もすべてお休み。子供たちが家族と過ごしたり、ゆっくり遊ぶための時間です。
フランス人はヴァカンスが本当に大好き。そのために働いているというような情熱を感じる人も少なくありません。フランス語では、勉強も仕事もtravail(トラバイユ)という言葉を使います。ヴァカンス中はtravailはなし!家族や友人や自分のための時間。ヴァカンスは子どもの頃から根付いた彼らの人生のリズムなのかもしれません。
Text: Seiko itoh