Designer Interview ー
アンティークな雰囲気をまといながら、
どこかいまの気分に合う
「Les Bons Enfants Paris
(レ ボン オンフォン パリ)」の
人形たちが、
この春パリから日本にやってきました!
人形はパリ在住のアーティスト
吉田由香さんが
すべてハンドメイドで仕上げたもの。
LILI et NENEでは今回帰国中の吉田さんに
インタビュー。
人形づくりをはじめたきっかけや
こだわりを伺いました。
―はじめにブランドについて教えてください。
パリ発、ハンドメイドで人形と人形用の洋服をつくっています。ブランド名は“Les Bons Enfants”という、フランスで昔から親しまれている子ども向けの本のタイトルに由来し、人形はその物語に登場する子どもたちをイメージしています。
―吉田さんは現在パリ在住とのこと、海外に渡ったきっかけは?
私は15歳の時にカリフォルニアの高校に留学し、そこからほぼ海外で生活をしています。大学時代はボストンの美術学校で絵画やイラストレーション、写真のことを学び、そのときから洋服や人形づくりもしていました。自分でつくったものを写真に撮って、アーティスト活動のようなことをしていたんです。卒業後はニューヨークでモデルのスカウトの仕事をしていたのですが、結婚して子どもが生まれ、夫がフランス・パリ出身だったので、パリで子育てをしたいという気持ちがあり引っ越しました。パリではずっとフリーのフォトグラファーをしています。
―長らくフォトグラファーとして活動されていたとのこと、どのようにして人形デザイナーに転身したのでしょうか?
写真も好きですが、フォトグラファーは生計を立てるための仕事と考えていて、もともと人形づくりが好きだったこともあり、未知なるアーティスト活動にチャレンジしたいと思い制作をはじめました。子どもが大きくなって手がかからなくなったことやコロナ禍が重なったこともあります。 2021年頃から本格的に活動しているのでまだはじまったばかり…フランスの百貨店「ギャラリー・ラファイエット」でポップアップとして紹介させてもらったり、子ども服ブランド「EMILE & IDA」とコラボしたり、そんな中で今回日本に紹介することができて嬉しいです!
―ハンドメイドの人形とのことですが、お一人でつくられているのですか?
はい。布やわたなどの素材を買い集めるところから、人形、洋服のデザイン、縫製も、小さなバッグや帽子を編むのも、箱のラベルのデザインや貼付も…いまはすべて一人でやっています。今回リリエネネさんで紹介する人形が入っている箱もひとつひとつ手づくりです。黒い絵の具で塗って、ラベルはコーヒーで染め、アンティークのボタン箱をイメージしているんですよ。
―人形づくりで吉田さんがこだわっているところは?
生地や詰めるわたは、コットンやリネンなどなるべく天然素材を使うようにしています。髪の毛の素材はいろいろな糸を試して、モヘアにたどり着きました。洋服の生地もフランス伝統のトワルドジュイなどアンティークな生地も取り入れています。あとは人形の目の刺繍は最後にすることです。髪型とのバランスを考えながら自分の感覚で目の位置を決めているので、ひとつとして同じ表情のものはありません。すべて一点ものです。
―人形はネコがモチーフになっていますが、その理由は?
ネコにすることははじめから決めていました。私がネコ好きということもあるんですが…(笑)“パリ発”のブランドにしようと思ったときに思い浮かんだのが“ネコ”でした。パリの街ではあちらこちらでネコを見かけますし、パリとネコは切っても切れない関係のように思います。帽子にもネコの足跡のチャームを付けたり、ディテールにもネコを忍ばせたりしています。
―洋服のデザインもオシャレですね。どこからインスピレーションを受けていますか?
はじめにもお話ししましたが、ブランド名の由来になった“Les Bons Enfants”という絵本に登場する子たちをイメージしながら、昔のフランスの子どもたちが着ていたエプロンドレスやギンガムチェックのシャツ、麦わら帽子やバスケットをつくっています。アンティークの生地は、ブロカントで手に入れたり、知り合いから譲ってもらったものもあります。洋服は人形に縫い付けていないので、着せ替えも楽しめますよ。
―最後に吉田さんの今後の展望について教えてください。
本格的にスタートしたのが2021年なので、試行錯誤しながらようやく人形のデザインやブランドのスタイルが定まってきたところです。すべて一人で制作しているのでたくさんつくれないのも現実…もっと多くの方に手にとっていただけるよう工夫もしていきたいと思っています。パリ発のブランドとして、ハンドメイドによるひとつのアートを、これから日本をはじめ世界の国々に紹介していきたいです。
おわりに
真っ黒なボックスを開くと、
そこに広がっているのはフランスの
古い童話のような世界。
つぶらな瞳や素朴なそばかす、
ちょこんとあしらわれたネコの耳、
ディテールまで美しい洋服、
丁寧に編まれた帽子やバスケット…
どこをとっても吉田さんの繊細な手仕事が
息づいています。
ぜひひとつひとつじっくり眺めて、
お気に入りの子を見つけてください。
LES BONS ENFANTS PARIS CAT GIRL limited edition
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