Vol.05
パリは先週から気温が急に下がり、すっかり秋になりました。初夏から秋にかけてはBrocante(ブロカント)やVide-Grenier(ヴィッドグルニエ)と呼ばれるフリーマーケットの季節です。パリではクリニャンクールや、ヴァンヴといった常設市の他に、週末ごとにパリ市内の通りや広場で蚤の市が開かれます。郊外や地方に行くと、村全体がブロカント会場になるような大規模なものも!
ブロカントには年代物のアンティークなどを扱うプロのお店が並び、Vide-Grenierは直訳すると「屋根裏を空っぽにする」という意味のいわゆるガレージセール。小さくなった子どもの洋服などをはじめ、いらなくなったものを売るフリーマーケットのような雰囲気です。子どもたちが一緒にお店に立って、もう使わなくなったおもちゃや本を、自分より小さな子どもに譲ったりする場でもあります。
フランス人にとって、週末に近所のブロカントをのぞくのは、とても身近な楽しみのひとつ。ロックダウン後も、大半が屋外で開かれるということもあり、かなり早い段階で再開されたもののひとつです。売っているものは本当にさまざまで、ヴィンテージの洋服やアクセサリー、家具、食器、古いオーディオ機器やカメラを直して売っていたり、ボロボロの布切れやぬいぐるみ、地図、切手やピンバッジのコレクターの専門店があったり。錆びたネジや壊れた何かのカケラすら立派な商品。今はもう存在しない特別な用途で使われていた道具なども並んでいて見飽きません。
会話好きなフランス人にとっては、店主に話を聞いたり、値段を交渉したりするすべてが蚤の市の醍醐味なのだと思います。そして、彼らは実際にそうして見つけた古い時代のものをリサイクルして、インテリアやファッションに取り入れるのが本当に上手。
リサイクルといえば、私の長女は今、エコなビジネスアイデアを考えるのに一所懸命です。彼女の通う中学校は、国の教育プログラムでクラスに一つ会社を作り、資金を集め、自分たちのアイデアを形にして利益を生み出すことを目標に運営するというものに参加しています。話し合いの結果、環境に優しいプロジェクトであることは全員一致の前提で進んでいるそうです。いくつも出ているアイデアの中には、おじいちゃん・おばあちゃんや親の古着を集めてリペアし、ブランドを立ち上げるというものも。ヴィンテージに慣れ親しんだフランスの中学生の作るお洋服……ぜひ見てみたいなぁと思います。
Text: Seiko itoh