まだまだ厳しい暑さが続いていますが、新米や色とりどりのフルーツが並ぶ実りの秋。旬の食材を子どもたちにたっぷり食べさせたい季節がやってきました! 今回のテーマは食事のときに大切にしたい「咀嚼」=「かむこと」。よくかんで食べるメリットとは?
子どものころ「よくかんで食べなさい」と言われたことはありませんか?そして大人になったいま、子どもに同じことを言っていませんか?私は子どもたちにしつこいほど「カミカミね〜!」と、伝えています…苦笑。それほどにかむことは大切なのです。
子どもは歯が生えていない赤ちゃんのころでも歯茎や舌を使って、豆腐やバナナくらいのやわらかいものをつぶし咀嚼の動きを練習しています。1歳前後に乳歯が上下4本ずつ生えはじめると前歯でかじりとり、3歳ごろにすべての乳歯20本が生えそろうことで、奥歯でかみ砕きすりつぶせるようになります。奥歯が生えはじめたら「かむこと」を意識した食事づくりを心がけましょう。さて、なぜかむことがいいのでしょう? よくかみつぶすことで飲み込みやすくなり、消化を助ける…というメリットはきっと聞いたことがあると思いますが、その他にもかむメリットはたくさんあります。
1.かむ刺激で脳が活性化し、栄養素や酸素が行き届く
2.かむほどに唾液が出て、細菌を洗い流し虫歯予防になる
3.あごが発達しかむ力が強くなり、歯がきちんと生え歯並びがよくなる
4.口の周りや舌の筋肉が発達し、はっきりとした発音で話せる
5.口周辺の筋肉が発達し、表情が豊かになる
6.よくかむことで満腹感を得られ食べ過ぎや肥満防止になる
大人がよくかんで食べている姿勢を子どもに見せたり「かむとどんな音がするかな?」「かむとどんな味?」と楽しく声をかけ、幼児期から「かむ習慣」を身につけさせたいものです。
何かと忙しい現代人…ふわふわしたパンやお菓子、うどんやラーメン、どんぶりものなどやわらかく飲み込みやすい食べものを口にする機会が多くなっていることで、大人も子どももかむ回数が減っています。かむ回数はひと口30回が理想(!)だそうですが、数えている人はほとんどいませんし、毎回数えていては楽しく食事をすることはできませんよね。ぜひ無意識にかむ回数が増える工夫を毎日の食習慣に取り入れてみてください。
食べものを水で流し込むクセがつくと、かむ回数が減るどころか口の周りの筋肉も育ちません。食材にも水分は含まれているのでお茶や水は食事の前後に!
特に忙しい朝は「早く食べて〜!」と言ってしまいますが、子どもは焦るとよくかまずに飲み込んでしまいます。急かしたい気持ちをぐっとおさえ、食べものを飲み込んだことを確認してから次のひと口を促しましょう。
食べるときに背もたれに寄りかかっていませんか?足がしっかり床や台に着いていますか?姿勢が正しくなければ食事に集中しにくく、かむ力は20%、かむ回数も1/4にまで低下すると言われています。子どもは親のマネをして育つので、大人も気を抜かずに姿勢を正し、よくかんで食べましょう。
ごぼうやれんこんなど繊維質が多い歯ごたえのある食材、こんにゃくや油揚げなど食感の楽しい食材を使ったり、野菜を大きめに切っておくとかむ回数が自然と増えます。また薄味に仕上げると味を感じたいと思うようになりかむ回数が増えます。但し…! かみごたえのあるメニューばかりにしてしまうとかむことに疲れてしまうので、1~2品程よく取り入れましょう。個人的なおすすめはれんこん入りのハンバーグ、油揚げやきのこを入れた味噌汁、高野豆腐、野菜スティック、りんごです。
レシピ…というほどのものでもありませんが、私がよくつくっている鮭とごぼうの炊き込みごはんを紹介します。ぜひ秋鮭と新米でつくってみてください。
いまが旬の秋鮭に、歯ごたえのある舞茸とごぼうを合わせた炊き込みごはん。食感の違う食材を組み合わせ、薄味に仕上げて自然とかむ回数UP!
【材料】3~4人分
米・・・2合
水・・・360cc
めんつゆ・・・大さじ3
塩鮭の切身・・・2切
舞茸・・・50g
ごぼう・・・50g
小ねぎ・・・適量
【つくりかた】
1. 下準備をする
米は研ぎ水あげしておく。舞茸は手でひと口サイズにほぐす。ごぼうはささがきにして5分水にさらし水気を切る(冷凍のささがきごぼうを使うと便利)。
※鮭の塩分が気になる場合は塩抜きするか生鮭を使う。
2. 炊飯器に米、水、めんつゆを入れて軽く混ぜ、その上に1をのせ30分吸水させてから炊く。
※鍋で炊く場合は中火にかけ、沸騰したら弱火で10分加熱する。
3. 炊きあがったら小口切りにした小ねぎを加えて10分蒸らす。鮭の骨がある場合は取り除き全体を混ぜる。
奥歯で食材をかみ砕けるようになった2歳ごろからおすすめのメニューです。1歳ごろの子どもに食べさせるときは、舞茸とごぼうを細かくカットしてくださいね。
食べものを歯でかみ砕いてすりつぶし、飲み込みやすくすること。これにより消化を助ける、脳や言葉が発達する、虫歯を予防する、食べ過ぎを防止するなど健康効果が期待できる。咀嚼力を育てるために、幼児期からかみごたえのある食事を意識的にとることがのぞましい。