食育として日常に取り入れたいキッチンでのお手伝い。食べることの大切さや命をいただくことのありがたさ、尊さを学ぶうえでも大きな役割を果たします。食べものや調理に興味を持たせるアイディア、キッチン作業を楽しむヒントとは?
包丁やボウルなど子どもサイズの道具を揃えることで、小さな手でスムーズに作業ができるほか“自分専用のもの”という嬉しさもあり興味を持つきっかけになります。一緒に道具を買いに行けば「使いたい」という意欲が掻き立てられますし、エプロンやタオルは大人とおそろいやお気に入りのキャラクターのデザインを選ぶと喜びます。きょうだいがいるときは、ケンカにならないようそれぞれに揃えてあげてください。(わが家は常に争奪戦が勃発するので、同じものを2つ買うようにしています苦笑)
「味見」も立派なお手伝いのひとつ。料理ができあがる前にぜひ体験を。子どもに味見を任せることで食べものへの興味がわき、苦手な食材であっても自分で味付けを決めると食べるきっかけになることがあります。「甘い」「酸っぱい」「辛い」「濃い」「薄い」など味の表現の幅が広がり、つくった料理に対する責任感も生まれるのでいいことづくし!
子どもと買い物に行くと野菜や魚の名前、季節の移り変わり、産地やお金の流れを知ることができます。「これなあに?」「このやさい たべてみたい!」と普段大人が手に取らない食材に興味を持ち、献立の幅が広がることもありますし、買うものを覚えていて「あ!おとうふかってないよ〜」と教えてくれることも。子連れの買い物は“かなり”大変ですが、子にも親にも多くの学びがあるので、私はなるべく連れていくようにしています。最終的にお菓子コーナーに居座ることは間違いないので…料理同様、心と時間に余裕があるときに一緒に買い物してみてくださいね。
食にまつわる絵本や食べもの図鑑を読み聞かせて「おいしそうだね」「今度食べてみる?」と声をかけたり、本に登場する料理やお菓子をつくったりするのもおすすめ。食材や料理の名前を覚えることができ、夢がつまった絵本の世界も体感できます。参考に子どもたちのお気に入りの本を3冊紹介します。
「しろくまちゃんのほっとけーき」わかやまけん 作/こぐま社
わが家は日曜日の朝はホットケーキの日。絵本を教科書がわりに卵をわり、牛乳を注ぎ、粉を入れてまぜまぜ…まだ1人で焼くことはできませんが生地のつくりかた、使う道具は完璧!
「おひさまパン」エリサ・クレヴェン 作・絵/江國香織 訳/金の星社
お菓子作家の友人が「子どもとパンを焼きたくなるよ」とプレゼントしてくれた一冊。動物がたくさん登場するので親しみやすく、小麦粉、イースト、砂糖などパンの材料を覚えることもでき、読むたびに子どもたちのパン熱があがります。
「じぶんでよめる たべものずかん」成美堂出版編集部著/成美堂出版
野菜や果物をはじめ、洋食や和食、中華などの料理、ケーキ、和菓子などのおかしまで約100ページにわたって紹介されています。子どもたちは食べたことのない料理やおやつの名前にくわしくなり、毎日寝る前に「どれ食べる〜?」と“エアー食べ”を楽しんでいます。
キッチンに立つとき、大人は“おいしい料理”をつくることを目的にしますが、子どもは混ぜる、つぶすなどの行為そのものを楽しんでいます。幼児期はやりたい気持ちを満たしてあげることが大切なので、何度も言いますが「大きな心で見守り、小さく援助する」これに尽きます。
わが家では、たまに手ごねのパンをつくるのですが、子どもたちは我こそは!と生地をこねたがります。(本来パンの大敵は乾燥なのでスピード命なのですが・・・・・)こねこねして、丸めて、好きなカタチにして…もう1回こねて、丸めて…とてつもなく時間はかかりますが、楽しそうなので乾燥も時間も気にせず心満たされるまでこねてもらっています。そうして焼き上がったパンはどこのパン屋さんよりもおいしいので^^
料理の味を確かめるために少し飲んだり食べたりすること。子どもに体験させることで食への興味がわき、自分でつくった料理に対する責任感が生まれる。五味をはじめ味の表現法を学ぶきっかけにもなる。
次回は6月27日(木)公開予定です。