まだまだ暑さは続きますが、まもなく9月。秋の味覚もちらほら見かけるようになりました。梨、栗、きのこ、鮭…子どもに旬の食材をたくさん食べさせたいですね。“子どもの食事”というと、つい料理のことばかりに頭がいってしまいますが、子どもに合う食器やカトラリーを選び、食事環境をととのえることも大切。今回は食器選びと、気になる箸のはじめ方について紹介します。
幼児食期になると、自分でスプーンを持ってごはんをすくったり、お椀を両手で持って汁を飲んだりするようになります。子どもだからといって小さすぎるスプーンでは食べにくく、軽い食器を選ぶと逆にひっくり返したりこぼしやすくなることも…。スプーンやフォーク、皿、コップなどの食具は、ひとりひとりの手指や腕の運動機能の発達、食べ方、咀しゃく力、飲み込む力に合わせて選ぶことが大切。子どもがストレスなく扱える食器やカトラリーを使うことが、食べる意欲を高めることにもつながります。
子どもが両手の手のひらで包み込みこめる大きさが適切。両手で持ってゆっくりと傾けて汁を飲む練習をするために、ある程度の重さがあるものを選びましょう。
スプーンですくったり、フォークで刺したりするときに、おかずが皿から飛び出してしまわないようにふちが立ち、上手にすくえるように返しのついたものがおすすめ。ガタつきを防ぐために重さがあり安定感のあるものを選びましょう。
子どもが握りやすく、握ったときに柄が手から少し出る長さが適切。スプーンの先は少し深さがあると食べものを乗せやすく、フォークの溝は2cm程度で先が尖っていないものを選びましょう。箸は長すぎても、短すぎても持ちにくいので3〜4歳で14.5cm、5〜6歳で16cmの長さが目安。
食器は、ある程度の重さがあり安定感のあるものが扱いやすく、私個人としては幼児期から陶器や磁器の茶碗やお皿を使うことをおすすめします。わが家ではおにぎりやパン、おやつなど手で食べるもののときはプラスチック製のプレートも使いますがそれ以外は陶器製の食器を使っています。当然割れてしまう悲しみやケガをする危険はあるのですが(もう何度となくお気に入りの器を欠いたり割っていますが泣)、程よい重さが子どもにとって扱いやすいのはもちろん、プラスチックにはない土や石の温もりを感じたり、ものを大切にする気持ちを育むことができます。割ってしまうのも学びのひとつ、ちょっとした欠けは自分で金継ぎしたり、プロにお直しをお願いしたり「割れても、大切に使おうね!」ということを子どもたちに伝えています。
日本ならではの食具“箸”をいつから持たせるべきか?どうやって練習させたらよいのか?悩む方は多いと思います。箸の練習をはじめるタイミングは“指”の発達で見極めを。たとえばスプーンを鉛筆握りで持っている、じゃんけんのチョキができる、オーケーサインをつくれるなど指を自由に動かせれば、箸をきちんと持つことができます。
はじめから食卓で箸を使おうとすると食事が進まなかったり、食への意欲もかき消されるので、スプーンやフォークをメインにしながら少しずつ使わせてみましょう。また、遊びのときに小さな消しゴムや小さく丸めたティッシュなどを、箸を使って容器にうつすゲームを取り入れるのもおすすめです。
持ち方についての教え方はたくさんあると思いますが一例として…“バキュン”の形をつくり(写真左)、親指と人差し指の間に箸をのせて挟む(写真右)というやり方が伝えやすかったので共有しておきます。子どもも食事中に「バキュンのゆびにして…」とつぶやきながら練習をしているので親しみやすいようです。
矯正用の箸もありますが、子どもが嫌がったり正しい使い方が身につきにくくなるので、頼りすぎず慣れたら通常の箸に切り替えを。ちなみにわが家は子どもが左利きということもあり、矯正箸ではなくサポーターを使っています。子どもによって手指の発達や箸への興味、性格、やる気(これが一番大事!)も違うので、ムリに教え込んだり、間違っていてもとがめないようにしましょう。参考までに…もうすぐ4歳になる上の子は、箸を使う割合が増え時々サポーターをはずして練習中。2歳になったばかりの下の子は「おはしつかってみる〜」と大変意欲的なものの、まだ指の動きが未熟なのでもう少し様子を見てからはじめようと思っています。日本の食卓では箸を使って食べることがほとんど。正しく持つと食べる姿も美しいものです。間違った持ち方を覚えてしまうと成長とともに修正が難しくなるので、マナーのひとつとして幼児期から正しい持ち方を身につけさせましょう!
食事をするときに使う、スプーンやフォーク、箸、皿のこと。子どもの発達に合わせて適した食具を使うことで、動作がスムーズになり、食事がしやすく、また食への意欲も高まる。
次回は9月26日(木)公開予定です。